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ユキヒョウとライオンの相克について

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《這う這うの軌道》わたしのシリーズ No.6。ちなみにここでナンバリングをしてはいるけれど、ウェブにアップしている順番は、展示のシリーズの順番と異なる。


某歴史本の翻訳作業は、いまだ翻訳エンジンに火が入らない。腕でクランクを回し続けてるけど、まだ始動しない。燃料ポンプも交換したし(カイロプラクティックにも通ったし)、レギュレータもオーバーホール(某プレゼン試験や某論文修正作業を忘れるために完全オフの時間をとったし)、キャブの調整もした(電子辞書の電池を入れ替えた)。なのに、まだ火が入らない。クランクを回す腕も疲れてきたので、すこし気分転換。フィルムスキャナの新しいドライバ候補のアプリを試してみる。


わたしのフィルムスキャナはコニカミノルタのDimage Scan Elite 5400 II。コニミノが最後の死力を尽くして完成させた(とわたしは思いたい)、フィルムスキャナの最終タイプ。で、いままではこれに付属するコニミノ純正ドライバを使ってきた。けれども、この純正ドライバがMac OS X 10.7に未対応。これまで公的には「未対応」でも、起動してみると何とか実用に耐えうるケースはあったけど、OS X 10.7、通称 Lion では、まったく起動することができない。以前、Lion がリリースされたときにわたしは 10.6 の Snow Leopard からバージョンアップしたのだけれど、唯一、このコニミノ純正ドライバが使用不可であったため、泣く泣くバージョンダウンして Lion から Snow Leopard に戻したというのが経緯。


そもそも、なぜ、10.7でこれが起動できないかと言えば、それは10.7が Rosetta というアプリを実装していないから。Rosetta とはインテルマックになるまえの、パワーPC時代のアプリを起動するためのアプリで、これが実装されていれば、PowerBook や PowerMac 時代のアプリを走らせることができた。わたしの Elite 5400 II というフィルムスキャナは2005年の発売で、当然、まだインテルマックがリリースされる前のデバイス。そのため、同梱のスキャナドライバもパワーPCマック用の仕様になっている(余談だけど、2005年以降、フラットベッドではないまとまなフィルムスキャナは発売されていない。・・・最近、コンスタントにリリースされる海外メーカのぱちもんっぽいフィルムスキャナは画がひどい)。


つまり、わたしはこのコニミノ純正ドライバのせいで、Mac OS X をバージョンアップできないでいる。これはまた別の話になるけど、マックユーザは、基本的に、OSをどんどんアップデートしていくべきだと個人的に思う。ウィンドウズと比べて、OS更新の頻度が高いのはたしかだけど、それだけどんどんユーザビリティが改善されていっているし、価格もウィンドウズと比べると控えめに設定されている。せっかく、「割高」なマックを使うなら、アップルクオリティを完全に満喫したほうが、結果的にお得だと思う。なのに、ここでたったひとつのアプリがボトムネックとなって、OS のバージョンアップが阻害されているのは正直、気分がよくない。


でも、コニミノは2012年現在、もうカメラ的には存在しない会社。怒っても詮ないこと。アップルにしても、いつまでもパワーPC時代のアプリの面倒を見続けるわけにはいかないだろう。Rosetta 実装がそれなりの負担になることは想像にかたくない。


さて。このへんの話は前に、書いた気がする。で、今回は、サードパーティ製のドライバを試してみてはどうかと思った次第。具体的には VueScan とSilverFast。まずは後者を検討。


SilverFastは、VueScanより料金が高い。が、信頼性は高いとも聞く。わたしのデバイス Elite 5400 II に対応するバージョンは、SilverFast 6.6 で、最新の 8 ではない。このことがわかった時点で、はやくもイヤな予感。かくしてこの予感は的中。 SilverFast 6.6 は Snow Leopard までしか Mac OS X に対応していないのだ。がっくし。最新の SilverFast 8 はちゃんと Lion 以降にも対応している。また、ニコンのクールスキャンシリーズは、こっちの最新バージョンを使えるらしい。・・・要するに、コニミノのフィルムスキャナだけ、マイナだからっていじめに遭っているということだ(いじめというと昨今、アレだけど、ようするに費用対効果をふまえた営業判断だろう)。


というわけで、はやくも VueScan の一択に。これはちゃんと Elite 5400 II に対応しているし、Mac OS X 10.7 以降にも対応している。条件としては文句なし。さっそく、体験版を落として、実際のポジをスキャンする。そしてこのデータを、純正ドライバでスキャンしたデータと比べて、画質をチェックしてみる。すると、結構アウトプットに差があって、びっくり。純正ドライバと比べたときの差とは:

VueScanの素敵なところ

○ Rosetta に依存せず起動できるため、Mac OS X 10.7 でも使える

○ やや、スキャン速度が速い

○ ICE など、純正ドライバの機能も使える

○ 黒から白まで、トーンをまんべんなく散らしたデータを出す
VueScanの残念なところ

△ プレビューを一覧できない

△ 日本語対応はしているが表示がややもっさり

△ 粒状感が、かなり目につくかたちで残る

使い勝手は、思ったほど差がなかったけれど、わたしが純正ドライバになれていることを差し引いても、プレビュー周りの表示の差はやや気になってしまう。また仮にそれを無視できたとしても、スキャンデータの性格の差が、いちばんネックに思う。この差はどこから来たのかと考えると、ひとつの仮説に行き当たる。つまり、VueScan にも「多重露出」という、純正ドライバの「マルチサンプルスキャンニング」を思わせる機能があって、このふたつの機能の中身が、たぶんかなり違うのだろうと推察できるのだ。約めて言うと、VueScan のそれは HDR 的性格が強く、純正ドライバのそれは 暗部のノイズ低減に特化したものみたい。


たしかに、VueScan が「多重露出」を使って出すデータの階調の豊富さはなかなか魅力的だけれど、一部、トーンジャンプがはっきり出ているところも見受けられる。それに比べると、純正ドライバのデータは、階調の豊富さでは一歩譲っても、比較的なめらかな階調の推移が見てとれ、ノイズも実際、控えめに抑えられている、・・・ということだ(ちなみに、VueScan でも純正ドライバでも「粒状感低減」機能をオフるのはマスト。なぜならこれを使うと目に見えて解像度が劣化するから)。


実は、VueScan の「多重露出」的データは、純正ドライバでも時間をかけて、明度の違う複数のデータをフォトショップのレイヤーとして重ねることで、実現できる。というか、今回のふたり展で出力したデータ作成はすべて、複数のスキャンデータを重ねて階調のなめらかさを極力維持したまま、それを豊富にすることから始めた(このプロセスはN山K太氏にご教授いただいた。多謝)。たぶん、これが現状、フィルムスキャナ経由でカラーをアウトプットするにあたって、もっともフィルムに残るデータを精度高く再現する方法のように思う。逆にいうと、VueScan の作業アルゴリズムは、純正ドライバと比べると、チャレンジングであるものの、すこしラフすぎるということだろう。


・・・何コマか、dpiの設定を変えて比較してみた結果、結局のところ、作業環境は現状維持ということになった。仕方ない。Mac OS X のバージョンアップは先延ばし。iCloud とか、いろいろ便利そうな機能があるから、できれば Snow Leopard から Lion に移行したかったけど。


というわけで、いまもわたしは MacBook Pro の液晶を通して、(デスクトップに映る)雪片にまみれたユキヒョウとにらめっこをしている。まあライオンよりはユキヒョウが好きだし、もすこし、これで粘ってみよう。ただ、粘っているあいだに、またこの環境で写真展用のアウトプットをすることになるかどうかは、微妙なところ。ぬぅ。


・・・でも、フィルムスキャナの、しかもコニミノの機種で、かつマック環境における動作というトピックが、この世界でどれほどのヒトに受け容れられるのかしらん。たぶん、五指に満たないだろうな。へぅ。


エ・プルシ・ムオヴェ。

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